現在ソーシャルメディアは個人の仮想現実空間としてインターネット上で交友を深める情報交換ができる、一般人の誰もが参加可能なメディア媒体として日常生活の一部となりつつあります。誰しもが「共有」と「共感」のもとに参加して楽しめるメディアとして活用する時代になっています。
しかし時にソーシャルメディアは前回までも記述しているように悪意のあるものが使用することで特定個人を苦しめる危険性を秘めています。今回は少しその点に踏み込んでブログ記事を書いていきたいと思います。
日常生活では特定個人の周辺の情報を収集し悪用するソーシャルエンジニアリングと呼ばれる心理的な隙やある行動から個人が持つ秘密情報を盗む手法がありますが、悪意を持つ者はその手法とソーシャルメディア上の情報を本来マーケティング手法であるソーシャルリスニングと呼ばれる手法で個人の情報収集を行いその情報を元に特定個人を苦しめる媒体になる可能性もあります。
『ソーシャルリスニング』とは一般的にはマーケティング目的に沿ってソーシャルメディア上の消費者の批評を聞き分析することで業界動向の把握、自社ブランド・自社プロダクト改善につなげるマーケティング手法です。
例えば悪意のあるものがソーシャルリスニングツールを悪用しSNS情報を収集した場合にどのような事態が起こりえるでしょうか。定性的であれば特定個人のプライバシーである①交友間の評判 ②交友関係、③交友の仕方・動機 ④ソーシャルメディア活動内容 ⑤SNS上の関係性 ⑥購買傾向 ⑦個人のライフスタイル ⑧嗜好 定量的であれば ①交友人数比較、②使用頻度比較、③他年代との比較等の情報収集を行い情報の関係性をマッピング化して特定個人のプライバシー情報を掌握することも可能だと考えられます。その結果現実の生活でもネット上でも特定個人をターゲットに苦しめ個人の生活を脅かす者、時にはストーカー行為にまで発展する可能性もあります。
しかしここで疑問点があります。ソーシャルメディアは使用用途にもよりますが、基本的には交友関係を外部に表示されないようにすることが可能であること、 つまり悪意者は被害者の交友関係の身近内部に寄生して常駐し特定個人の情報を外部に流す役割が必要になります。そのような方法で一旦被害にあってしまった場合、日に日に悪質化して気がつくと収拾がつかなくなっている危険性を秘めています。
私はソーシャルメディアは比喩すると人間の脳神経シナプスとニューロンの関係性に近いのではないかと考えています。使用者には使用者自身の交友とソーシャルメディア内容が大きくクローズアップされますが、マクロな視点からすると当たり前のように別の方に も交友関係が存在し更にその交友関係の友人一人にも交友関係が存在する、関係性が網の目のように繋がり情報の交換が行われます。脳のような仕組みであるがゆえに良質な情報、良質な記事は交友関係を伝わり、目に留まってほしい読んでほしい方々へのアプローチであり成功機会になる可能もありえます。
しかし反面ではある人物と情報交換を行うことでその交友関係にも情報が漏洩する危険性を秘めており、知らずに拡大する恐れがあること、例えば交友関係(もしくは交友関係の中の更に交友関係にある者)の一人に悪意を持つ人物がいたとしたら特定個人のプライバシーを掌握しつつ情報を濫用しプライバシー侵害被害や風評被害を与えることが可能ということです。
ここで間違ってほしくないのはソーシャルメディア活用を辞めるべきといっているのではなく、ソーシャルメディアで交流を深め信頼を獲得することはこれからの時代に生き残るためには必要な知識・活動であること。
それではこうしたソーシャルメディア上での攻撃を防ぐにはどのように活動していくべきなのか。
ソーシャルメディアの本質を考えると「共有」「共感」がメインテーマであることから、交友関係を持つ場合でも現実の生活で同じ時間を共有しその瞬間を共有していたい、今後も交流を深めたいといった現実の生活でも繋がりのある方と交流を行い生活の延長と考え交流を作っていく意識が必要だと考えています。信頼のある方と交流を深め信用を獲得することで長期的にはこうした悪質化するネット犯罪被害を抑止する効果もあるのではないかと考えられます。
また悪用されていると判断を下したときには一時使用中断すること。使用する使用しないは他者に強制されるものではなく、個人の判断で行うことを忘れないでください。
意識すべきことはソーシャルメディアで交友関係を作る心理として相手の交友関係に加わりたい、集団に入りたいといったバンドワゴン効果と呼ばれる効果によることが多く、個人の集団帰属欲を刺激することにあります。しかしその交友関係に入る前にこの繋がりの意義を一旦手を止めて考えてください。
日常化されるソーシャルメディア媒体を生かすも殺すもその個人の判断と選択によることを忘れないでください。